Illustratorで名刺を作ろう
今回はIllustratorを使って名刺を作る方法を紹介したいと思います。
テーマは「簡単でおしゃれな名刺を最速で制作しよう」です。
目標は以下の名刺です。
もちろんこの通りに作る必要は一切ないので、自分なりにアレンジを加えてもいいですからね。
工程は以下。
今回は「準備編」「制作編」と2部構成で記事にしています。
準備編
まず準備編は以下の4工程です。
- Illustratorを起動する
- 名刺の印刷テンプレートをダウンロード・展開する
- 名刺の印刷テンプレートを開く
- レイヤーパネルを確認する
- アートボードの各ラインの意味を理解する
1. Illustratorを起動する
ひとまず「スタートメニュー→Adobe Illustrator 2023」とクリックしてIllustratorを起動します。
Adobeアカウントには「Googleでログイン」を行ってください。
2. 名刺の印刷テンプレートをダウンロード・展開する
次に名刺のテンプレートをダウンロードしましょう。
基本的に名刺は必ず印刷を行うため、印刷を発注する予定の業者様のテンプレートを使用することが多いです。
ただし、テンプレートといってもすでにデザインされたものを使うというわけではなく、印刷に適した設定を施されているだけです。
今回は株式会社グラフィック様の名刺テンプレートを土台に名刺を作っていきたいと思います。
下記のページを開き、名刺・名刺セット(55mm x 91mm)の中から「Illustrator形式」のボタンをクリックし、「meisi_ai.zip」のファイルをダウンロードします。
ダウンロード後、「右クリック→すべてを展開→展開」でファイルを展開します。
3. 名刺の印刷テンプレートを開く
zip圧縮ファイルを展開できたら早速ファイルを開きましょう。
「meisi_ai」フォルダ→「meisi_TT」フォルダと開いていき、
中にある「meisi_TT_omote.ai」をダブルクリックすることでAIファイルが開きます。
ファイルを開いた状態では編集がしづらいので、
「メニューバー→表示→アートボードを全体表示」もしくは「Ctrl + 0」で、
編集するアートボードを全体表示しておきましょう。
4. レイヤーパネルを確認する
次にレイヤーパネルを確認し、どのようなレイヤーで構成されているかを確認してみましょう。
「レイアウト」「指示情報」「注意点」「トンボ」とすでに4つのレイヤーがありますね。
特徴的なのは「レイアウト」レイヤーにのみ「鍵アイコン」と「>(大なり)」マークがないことです。
この中で今回皆さんが名刺デザインの制作を行うのに使用するのは、
唯一レイヤーサムネイルの横に「鍵」と「>」がついていない「レイアウト」レイヤーです。
5. アートボードの各ラインの意味を理解する
アートボードを見るとわかりますが、
白地のキャンバスの他に黒や水色のいくつかのラインで形成されていますね。
アートボードの外にある線はトンボ(トリムマーク)、水色の線はガイドラインです。
トンボ(トリムマーク)
トンボは「紙をここで裁断するよ」というマークで、
実際に印刷されるサイズの指標かつ業者様への指示として必ず指定が必要です。
今回はテンプレートを使うため(というかそのためのテンプレートです)自分たちでトンボを設定する必要はありませんが、最低限意味を理解しておかなければ意図しないサイズで裁断される可能性があります。以下の記事を拝読しましょう。
ガイドライン
ガイドラインは作業内でも便利な機能ですが、今回は「内側のガイドライン」「仕上がり線」「塗り足し」の3つのラインを把握しておくのに必要です。
以下にまとめてみました。
ライン名 | サイズ | 説明 |
---|---|---|
内側のガイドライン | 幅49mm x 高さ85mm | 印刷時に見切れる境目。 テキストやロゴなど切れては困る要素は、 このラインの内側に配置する。 |
仕上がり線 | 幅55mm x 高さ91mm | 実際に裁断をされるサイズの目安の線。 |
塗り足し幅 | 幅61mm x 高さ97mm | 背景を仕上がりサイズよりも、 上下左右それぞれ3mmずつ(計6mm)大きく作成すること。 仕上がり線よりも外にはみ出るサイズにすることで、 背景の色が切れてしまうのを防ぐ。 |
また以下の記事でも確認できます。
制作編
少し長くなりそうなので詳細は講義内で伝えます。
制作編は以下の10工程です。
- スウォッチパネルを開く。
- カラーの設定で塗りと線を設定する。
- 塗り足し幅のサイズの背景レイヤーを描画する。
- 背景レイヤーをロックし編集不可の状態にする。
- アートボードをクリックして氏名などを打ち込む。
- フォント関連の指定を行う。
- 文字の微調整を行う。
- レイアウトを行う。
- 装飾を行う
- 微調整を行い、書き出す。
1. スウォッチパネルを開く。
Illustratorではさまざまなカラーパターンが用意されており、そこから色を選択することもできます。
これを「スウォッチ」といい、右側のパネル群に表示させることで使用できます。
上部メニューバー「ウィンドウ→スウォッチ」とクリックしてスウォッチパネルを開きましょう。
2. カラーの設定で塗りと線を設定する。
次に名刺の背景色から決めていきましょう。
テキストP.27を参考に、左側ツールバーの「カラーの設定」で、塗りを名刺の背景色に、線を「なし」に設定しましょう。なお、塗りの色は先ほど表示させたスウォッチパネルの色から選ぶことができます。
3. 塗り足し幅のサイズの背景レイヤーを描画する。
では先ほど設定した色の背景を作りましょう。
テキストP.78を参考に、左側ツールバー「長方形ツール」を使い、
塗り足し幅のサイズ(幅61mm x 高さ97mm)の長方形を描画(以下背景レイヤー)します。
さらにアートボードの縦横中央に配置するため、テキストP.66~67を参考に、
「アートボードに整列」「水平方向中央に整列」「垂直方向中央に整列」を行ってください。
4. 背景レイヤーをロックし編集不可の状態にする。
背景レイヤーはしばらくこの状態で置いておきたいので、
レイヤーをロックして編集ができない状態にしておきましょう。
左側ツールバー「選択ツール」で背景レイヤーを選択し、
上部メニューバー「オブジェクト→ロック→選択」とクリックして、
背景レイヤーをロックし編集不可の状態にします。
後ほどロック解除しますが、ロック解除を行うには、
上部メニューバー「オブジェクト→すべてをロック解除」でレイヤーのロック解除ができます。
なお、ショートカットキーは「ロック:Ctrl + 2 / ロック解除:Ctrl + Alt + 2」です。
5. アートボードをクリックして氏名などを打ち込む。
では各テキストを打ち込んでいきましょう。
左側ツールバーの「横書き文字ツール」を選択してカンバス内に文字を入力してください。
今回は以下の文字を打ち込みました。
- 「CREATIVE STUDIO」
- 「COMPUTER GRAPHICS」(改行あり)
- 「Webクリエイター」
- 「山田 太郎」
- 「TAROU YAMADA」
- 「社名&住所(株式会社コンピュータグラフィックス・・・略)」(改行あり)
各テキストを打ち込み終わったら「Enter」を押してしまいがちですね。
だたの改行の場合はそれでいいのですが、入力完了の変換確定の場合は「Ctrl + Enter」を行いましょう。
6. フォント関連の指定を行う。
入力した文字の設定をそれぞれに行いましょう。
対象の文字列をダブルクリックで編集可能にし、右側のパネルの「A」アイコン「文字パネル」の、
「フォントファミリ」「フォントスタイル」「フォントサイズ」を設定します。(テキストP.202~P.205)
私は以下のようなサイズに指定してみました。
なお、一括で指定できるわけではないため、各テキストを打ち込むたびに指定を行いましょう。
文字 | フォントファミリ | フォントスタイル | フォントサイズ |
---|---|---|---|
CREATIVE STUDIO | Monotype Corsiva | Regular | 8pt |
COMPUTER GRAPHICS | Copperplate Gothic Bold | Regular | 14pt |
Webクリエイター | 游ゴシック | Bold | 5pt |
山田 太郎 | 游ゴシック | Medium | 12pt |
TAROU YAMADA | 游ゴシック | Bold | 3pt |
社名&住所 | 游ゴシック | Regular | 5pt |
7. 文字の微調整を行う。
続いて「文字パネル」の中の行間などを調整することができます。
テキストP.206~207を参考に、バランスを見ながら文字の微調整を行ってみましょう。
また「文字パネル」のすぐ横に「段落パネル」(テキストP.208)がありますが、
こちらは「整列」と似ていて、文字の揃え方を調整することができます。
テキストを左から始めたい場合は「左端揃え」だったり、
テキストを中央から始めたい場合は「中央揃え」だったり、
テキストを右から始めたい場合は「右端揃え」だったり・・・
私が作ったサンプル場合、すべてのテキストを「中央揃え」にしています。
「整列」と違うのは、「整列」は他の要素との関わりになりますが、
「段落パネル」は入力テキスト自体の文字の扱い方の指定である点です。
テキストのカーニング(文字詰め)を一文字筒手作業で行えば文字バランスも整えられます。
(講義内でコツをレクチャー・・・!)
8. レイアウトを行う
文字の調整ができたらオブジェクトのレイアウトを行いましょう。
左側ツールバーの「選択ツール」(テキストP.60)で移動したり、右側パネル群「整列パネル」(テキストP.66)で整列したり、
また必要があれば、「バウンディングボックス」(テキストP.64~P.65)で拡大・縮小や回転を行ったりして、
オブジェクトをバランスよく配置していきましょう。(これも講義内でコツをレクチャー・・・!)
9. 装飾を行う
ベースができたので、ここから要素を足していきましょう。
今回の場合、社名&住所の背景に白地の背景を敷いて文字情報にメリハリをつけました。
たとえば「デザイン枠専門サイトFRAME Design – 1000以上の飾り枠のある素材サイト」さんのフレームを加えてみても面白くなりそうですね。
とかで、
とかね。
10. 微調整を行い、書き出す。
ここまで来たらあとはバランスなどの微調整を行い、問題なければ書き出しましょう。
書き出しの手順は以下。
- 「ファイル→書き出し→スクリーン用に書き出し」をクリック(ショートカット:Ctrl + Alt + E)
- 「フォーマット」の下の左の枠を「4x」に、右の枠を「PNG」にする。(中央はそのままでよい)
- 「アートボードを書き出し」ボタンをクリックします。
以上で書き出しが完了します。
みなさんのオリジナル名刺はできましたか?
まとめ
以上が「Illustratorを使って最速で名刺を作る方法」の紹介でした。
スペースや文字、ブロックのバランスは日々作業をしていなければなかなか身に付きませんが、
この方法なら「それなりに見えて簡単に作れる名刺」ができると思います。
(細かいところは授業内で言えたかな??ワタシ)
実際に印刷する場合は「校正する」「アウトラインを取る」などその他の作業があります。
また印刷物ならではの「紙を選ぶ」というちょっと楽しい作業があります。
そういった作業も是非一度体験してみてほしいと思います。